AI・MI・計算科学を活用した蓄電池研究開発動向 紹介
監修者: 森分 博紀(非営利・一般財団法人 ファインセラミックスセンター (JFCC)
執筆者:計31人
出版:化学工業日報
- はじめに
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現在、地球規模の気候変動問題の解決に向けて、120以上の国と地域で「2050年カーボンニュートラル」という目標が掲げられております。
我が国では2020年10月、第203回臨時国会の所信表明演説において、菅義偉内閣総理大臣によって「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことが宣言されました。
ここで宣言された温室効果ガスの「排出を全体としてゼロ」にするという目的を達成するためには、石炭、石油の依存を減らし、効率的なエネルギーの運用を行う必要があり、蓄電池の技術開発に注目が集まっております。すでに蓄電池は車やスマートホンなど身近なところで活用されておりますが、カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向けては高性能な畜電池が求められており研究が進められております。
2)概要
蓄電池の研究において、研究対象は材料科学から電池ユニットの性能評価など研究対象は多岐にわたります。ご紹介させていただく本書“AI・MI・計算科学を活用した蓄電池研究開発動向”では蓄電池開発の広範な分野において、基礎から先端研究、展望までを網羅した内容となっております。
実際の研究の現場では理論、実験はもちろんのことAI、MI、シミュレーションを活用した研究が進められております。本書では蓄電池で用いられる各種の技術について、最先端の研究成果を研究者によって丁寧に解説されており、最先端の研究と動向に関心をお持ちの方、これから学習される方にとって有意義な内容となっております。
3)計測エンジニアリング寄稿分野の詳細、
弊社では本書に第Ⅲ編 第一原理計算以外のシミュレーション(有限要素法,モデル計算)
“有限要素法によるリチウムイオン電池・リチウム空気電池の数値解析”を寄稿させていただいております。リチウムイオン電池のマルチフィジクスを取り扱う電気化学モデルを解説させていただき、応用編としてリチウムイオン電池、リチウム空気電池、全固体電池のベンチマークを行い、シミュレーションによって効率的に計算いただけることを示しています。
4)書籍目次
第Ⅰ編 第一原理計算
第1章 第一原理計算による電池固液界面の理論計算 萩原 聡,大谷 実
第2章 計算科学を活用した蓄電池研究開発の最近の動向 田中真悟
第3章 第一原理計算と原子レベル構造解析との連携によるLiイオン電池材料研究 〜マテリアルズ・インフォマティクスの限界と将来展開〜 森分博紀
第4章 マグネシウム二次電池正極材料MgCo2−xMnxO4系酸化物の第一原理計算および量子ビームを用いた充放電過程における結晶・電子構造解析 石橋千晶,井手本康
第5章 網羅計算による固体電解質材料の探索と全固体リチウム金属電池への応用 谷端直人
第6章 口密度汎関数法+溶液理論計算を用いたLiイオン電池電極界面での電荷移動過程の解析 春山 潤,池庄司民夫,大谷 実
第7章 固体電解質材料のハイスループット原子間ポテンシャル構築 小林 亮
第Ⅱ編 インフォマティクス,機械学習,AIを用いた蓄電池研究・開発
第1章 マテリアルズ・インフォマティクスの基礎 中山将伸
第2章 電池開発における種々のMI アプローチの紹介 入江 満
第3章 マテリアルズインフォマティクスを活用した新規有機負極活物質の探索
緒明佑哉,五十嵐康彦
第4章 機械学習・深層学習によるリチウムイオン電池の劣化予測 高岸洋一
第5章 全固体電池における材料インフォマティクスを利用した材料探索 山崎久嗣
第6章 ベイズ最適化による多目的最適化:伝導材料探索における事例紹介
烏山昌幸,田村友幸,設樂一希
第7章 情報科学の導入による粒界物性研究の加速 田村友幸,烏山昌幸
第8章 実験自動化ロボットと機械学習を用いたハイスループット電解液探索システム 松田翔一
第9章 富士通におけるマテリアルズ・インフォマティクスを用いた電池材料開発の取り組み 栗田知周,本間健司,實宝秀幸
第Ⅲ編 第一原理計算以外のシミュレーション(有限要素法,モデル計算)
- 電池開発現場での活用を目指した二次電池シミュレーション技術開発
米田雅一,高山 務
- 有限要素法によるリチウムイオン電池・リチウム空気電池の数値解析
佟立柱,小澤和夫
第3章 流体シミュレーションを用いた亜鉛電析形態の予測 小野智之,稗田謙志郎,岩田洋典
第Ⅳ編 基礎(第一原理計算・機械学習)
第1章 第一原理計算の基礎 野田祐輔
第2章 機械学習の基礎 野田祐輔